さて、イザナキさまとイザナミさまのおふたりは、
新しく作った島の上に降りてきました。
そこには、天の御柱と八尋殿(ヤヒロドノ)がありました。
ここで、イザナキさまとイザナミさまは夫婦の契りを
交わされます。
古事記で、もっともすてきなシーンだと思ってます。
古事記の原文にはこうあります。
於其嶋天降坐而、見立天之御柱、見立八尋殿。
於是、問其妹伊邪那美命曰「汝身者、如何成。」
答曰「吾身者、成成不成合處一處在。」
爾伊邪那岐命詔「我身者、成成而成餘處一處在。
故以此吾身成餘處、刺塞汝身不成合處而、以爲生成國土、生奈何。」
訓生、云宇牟。下效此。伊邪那美命答曰「然善。」
現代語訳
伊耶那岐命・伊耶那美命が淤能碁呂島に降りてみると、
その島には天の御柱と八尋殿(ヤヒロドノ)がありました。
イザナキ:「貴女の身体はどのようにできているのですか。」
イザナミ:「私の身体はほぼ整っているのですが、
足りない所が一箇所だけあります。」
イザナキ:「私の身体は既に整っているのですが、
それが高じて余った所が一箇所だけあります。
だから、私の身体の余った所で貴女の身体の足りない所を
挿し塞いで国を生もうと思います。
それでどうでしょう?」
イザナミ:「ええ,それがよいですわ。」
この話には多くの大事なポイントが隠されています。
その中で、このお二方は、地上に降りられて契りを交わされています。
つまり、神ではありますが、天上界では、
こういうことはなさらないという解釈です。
この、古事記の中に出てくる世界観は、
これからもあらゆる箇所に出てくるので、
その都度ご紹介しますが、
神と人とをきっちりと見事に分けられています。
そして、このあとに続く幾つかのシーンが、
この国産みでも、もっとも美しく、
しかし、また悲しく、厳しく、
そこにも、古事記の世界観がふんだんに盛り込まれているのです。
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