「伊邪那美神崩御される」で書きましたように、イザナキさまがカグツチさまを斬られた際に多くの神さまが生まれましたが、ここではその中でも代表的な二神をご紹介します。
建御雷之男神 (たけみかづちのおのかみ)
別名=建御雷神/武甕槌神/武甕雷男神/建布都神
雷神、武神、軍神
カグツチを斬った際に岩に飛び散った血から生じた三神のうちの一神です。
建御雷之男神は、古事記の「国譲り」の場面、また「神武東征」でも大活躍しますので、詳細に関してはいずれもはその時に触れたいと思います。
名前の「ミカヅチ」はイカヅチ雷に接頭語「ミ」をつけた「ミ・イカヅチ」の縮まったものであり、雷神は剣の神でもあります。古くから雷を「鳴神」と呼ぶように天でゴロゴロ鳴り響く神で荒々しい神格を示していますが、古代人は雷をモノを切り裂く威力がある剣になぞらえたと考えらます。
元々は常陸の多氏(おおのうじ)が信仰していた鹿島の土着神(国つ神)で、海上交通の神として信仰されていましたた 。さらに、祭祀を司る中臣氏が鹿島を含む常総地方の出で、古くから鹿島神ことタケミカヅチを信奉していたことから、平城京に春日大社(奈良県奈良市)が作られると、中臣氏は鹿島神を勧請し、一族の氏神としました。
闇龗神 (くらおかみのかみ)
別名=闇罔象神/闇淤加美神/高龗神
水の神
カグツチを斬った際に剣の柄に溜まった血がての指の間から漏れて生まれた神さまです。
龗とは龍を意味する古語。「闇」は「日本書紀」の中に出てくる高龗神の名と対比して、山の高い峰に対して暗い場所、即ち「谷」の意味すると考えられ、谷の水を司る竜蛇神で、雨などの降水現象を支配する神です。また、火の神を惨殺した剣から生まれたことからも、刀剣による火伏せの神徳があるとされています。「豊後国風土記」にはこの地を訪れた天皇のために従者が飲み水を泉かた汲もうとするとそこに蛇龗がいたために天皇は水を汲ませたのをやめさせたと書かれてあります。
要するにこの神は降雨と止雨をつかさどる谷間の龍神なのです。
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