日本神話の中でも一大スペクタルとでもいえそうな一幕が、この「天の岩屋戸」のシーンだと思います。もし、わたくしが今自由に映画を一本、全く予算を考えなくても良いから作成していいと言われたら、わたくしはこれを題材にします。勿論、わたくしも出演させて頂きます。役柄?? それは絶対スサノオさまでしょう??
ということで(どういうことだ??)、前回古事記の現代語訳を一気にご紹介しましたが、実は、この「岩戸伝説」には、古事記(日本書記においても)、及び、古代史における今後の日本国という枠組みを作っていくために提示された要素が満載しております。
今回から数回にわたりそれをご紹介させて頂きましょう。
〇神々の総出演
まず、なんといっても、一度にこれだけたくさんの神さまが一堂に会したのは、記紀においては初めてのことでしょう?
それまでの特に古事記においては、天地開闢以来、神さまが現れは消えを繰り返し、やっと夫婦神という解釈ができて、誕生することで系図という繋がりが作られ、ですが、イザナミさまが亡くなられてのち国造りが中断され、おや、一体、高天原と葦原中国は一体どうなってしまったの?? というところで止まってしまっておりました。
ざっと振り返ってみますと。
・天の安河の川原に八百万の神々が集まり対応を相談しました。
・知恵の神、思金神の案により、さまざまな儀式をおこうことになりました。
・常世の長鳴鳥(鶏)を集めて鳴かせました。
・鍛冶師の天津麻羅を探し、伊斯許理度売命に、天の安河の川上にある岩と鉱山の鉄とで、八咫鏡(やたのかがみ)を作らせました。
・玉祖命に八尺の勾玉の五百箇のみすまるの珠(八尺瓊勾玉・やさかにのまがたま)を作らせました。
・天児屋命と太玉命を呼び、雄鹿の肩の骨とははかの木で占い(太占)をさせました。
・賢木(さかき)を根ごと掘り起こし、枝に八尺瓊勾玉と八咫鏡と布帛をかけ、フトダマが御幣として奉げ持ちました。
・アメノコヤネが祝詞(のりと)を唱え、天手力雄神が岩戸の脇に隠れて立ちました。
・天宇受賣命が岩戸の前に桶を伏せて踏み鳴らし、神憑りして胸をさらけ出し、裳の紐を陰部までおし下げて踊りました。
すると、高天原が鳴り轟くように八百万の神が一斉に笑い大騒ぎになりました。
そして、これを聞いた天照大神は訝しんで天岩戸の扉を少し開け、「自分が岩戸に篭って闇になっているのに、なぜ、天宇受賣命は楽しそうに舞い、八百万の神は笑っているのか」と問うたところ、アメノウズメが「貴方様より貴い神が表れたので、喜んでいるのです」というと、天児屋命と太玉命が天照大神に鏡を差し出しました。
鏡に写る自分の姿をその貴い神だと思った天照大神が、その姿をもっとよくみようと岩戸をさらに開けると、隠れていたアメノタヂカラオがその手を取って岩戸の外へ引きずり出しました。 すぐにフトダマが注連縄を岩戸の入口に張り、「もうこれより中に入らないで下さい」といった。
こうして天照大神が岩戸の外に出てくると、高天原も葦原中国も明るくなりました。
アマテラスさまの復活に、神々一同、大喜びで平伏しました。
色々たくさんの神さまが総出演されるところは、ジブリ映画「千と千尋の神隠し」の「油屋」に向かわれる神さま、或いは、「スターウォーズ」の盛り場に出てくる、いろいろなエイリアン(こっちはたとえが悪いかな??)を彷彿させます。
中でも、この八百万神さま大宴会の総合プロデューサー、オモイカネさまは、なんと高御産巣日神のお子様と表記があり、高御産巣日神自身は暫く古事記に登場なさりませんでしたが、実は、この後、神話研究的には色々なところに出て参りますので、是非、お見知りおきください。
また、天宇受賣命はここで踊ったことが有名(日本最初のストリップとも言われています)ですが、このあととても大きな役割を果たします。そんな、色々なスタッフが高天原には沢山いらっしゃいますよ!と、言わんばかりの一大シーンなのだと思います。
そんな高天原のフルキャストが総出演した「天の岩戸」とはどういう意味があるのでしょうか?
次回は、アマテラスさまの意義と共に考えてみたいと思います。
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