海幸山幸神話の真実(3)

先日は夏至でした。


実は、なんとなくいろいろ心身がすっきりしなかったのですが、どうも夏至で大きく変わった感じがします。


この日はたまたま立派な方々との会食もありましたが、その件もいろいろ進展、やるべきことが明確に、いや、会食のそれぞれの方々が各々やるべきことをはっきりさせようという展開になり…

みなさま、わたくしより大先輩の方々です。


すごいパワーなんですね、それが...


驚きました。


繋がるべきものは繋がるんですね、但し、それは、為すべきをきちんとやっていれば。

怠ると繋がらない。

でも、それって、気合いを入れて、エイ、ヤー、ターでできるものとも違います。

自分の身の丈で、きちんと日夜続けているかどうかなんですね。


だから、わたくしは人生に偶然なんてないと言っています。


自分で撒いた種しか実りません。


だからそこを間違えると、違うものも実ってきてしまい、それが大きな弊害になって、本来の自分の道を塞いでしまい辿り着けない。

つまり、繋がらないんですね。


おっと、「海幸山幸」でした。




〇海宮訪問と豊玉毘売との婚姻

さて、塩椎神の教えで海宮にやってきたホヲリさまは、ここで運命の出会いがあります。

トヨタマビメさまとの出会いです。

トヨタマビメが、父、綿津見大神にそのことを報告すると、

「このお方は、天津日高の御子、虚空津日高(そらつひだか)である」といいます。

そして、ワタツミノカミはホヲリを家の中に入れ、歓待し、その後、トヨタマビメと結婚し、三年の月日を過ごすことになります。




さて、古事記でとても象徴的なのが「異郷訪問譚」でしょう。


異郷訪問譚とは、


「異郷の支配者と結ばれて異郷の霊力を身につけ、さらに異郷の呪物を継承することによって自らの血統に新たな血筋を受け継ぐ御子を誕生させるとおいうものです」


そして、このくだりは、そう、あのシーンと全く同じなんです。


それは、オオムナジ(大国主命)さまが、根堅州国でスセリビメと出会い、その父であるスサノオさまに紹介したところ、スサノオさまは「これは葦原色許男命という男だ」というシーンです。


その後、スサノオさまはいくつかの試練を与えましたが、それをオオムナジさまは知恵と協力で乗り切り、乗り越え、スサノオさまから「大国主命」という名前を授かり、国を治めるための力を授かったとされています。


ほとんど同じ流れなのです。



これはどういうことでしょうか?


オオムナジとホヲリの共通点は?

決定的なのは「末の子」だということです。

(これはスサノオさまも同じです)


ここにある大事なポイントは、いずれも、末の子が兄を成敗していること。

不思議なのは、継承するのは一子ではなく、末の子になっています。

オオムナジも、ホヲリも。

さらに言えば、この後登場する神武天皇も末っ子です。

なせ、末の子が継承しているのでしょうか?

そしてその発端は、スサノオさまなんです。


では、ここで....


最初にイザナキさまから自分の継承権を頂いたのは、アマテラスさまです。

天照大御神は長子かというと???


イザナキさまとイザナミさまには何人も子が。それも国を産み、神を産み...

ですが、「三貴子」で言えば、アマテラスさまは女子でありながらも長子です。


アマテラスさまを継いだ形(実際にそういう表記はありませんが、最初に天津神として葦原国を治めるように言われた)アメノオシホミミさまは五皇子の長男とされています。その子で天孫として降臨したニニギさまは次男です。


これらの一連の神話を読んでいると、大変不思議なことに気づきます。

なぜ、葦原国の支配を継承しているものは、みな長子でないのでしょうか?

逆に、なぜ、現代の方が長子が重要とされていたのでしょうか?


これは、記紀の編纂の背景が大事です。


この書物の編纂を命じられたのは、記紀共に、天武天皇です。

そう、これは天武天皇の「正統性」なのです。


天武天皇は「壬申の乱」で天智天皇の御子、弘文天皇(大友皇子)を内乱で滅ぼし、その後皇位につかれました。

天智天皇は兄ですから天武天皇は弟になります。


「壬申の乱」は日本史最大の内乱ですし、反乱軍が勝利するという類稀な例でしたので、実は昭和時代には日本史の教科書でも「南北朝時代」よりもタブーで、学問としては良しとされても、例えばテレビ放送、歴史ドラマで扱ったりというのも暗黙の了解で行われませんでした。あの吉川英治先生の名作「私本太平記」が大河ドラマで放映されたのも平成になってからでした。


そして実は、この天武天皇の治世は、記紀の中に色々なかたちで登場するのです。

それは、今後も折に触れてご紹介させていただきます。



そして、もうひとつこの「異郷訪問譚」で大事なポイントが、「この国の成立」です。


というのも、前回にも書きました、農耕民族としての国家成立なのですが、ちょっと考えるとおかしいですよね?


神話の時期、そして、それ以前に、この国の民はどうしていたのか?

「稲作」が前提をなっているのはなぜなのか?

さらに言えば、北方系神話と南方系神話をどう取り入れてきたのか?


そして、この大事な部分を、「神代編」最後のこの部分で、なぜ、性急にまとめあげようとしたのか?



次回も、さらにポイントを探求していく予定です。

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