伊邪那岐命 (いざなきのみこと)

メインの「古事記の物語」においてイザナキさまの出番がなくなりましたので、改めましてこの神さまを総括いたしたく存じます。

イザナミさまも単独でここに書かせて頂きましたので、イザナキさまもそうします。

改めて、イザナキさまとイザナミさまから派生した神さまの数を数えてみますと、

①国産み 20

②神産み 17柱

③イザナミさまの汚物から 6柱

④イザナキさまの禊から 23柱

⑤三貴子 3柱

⑥その他

 ヒルコ、淡島 2

 泣沢女神 1柱

 イザナミさま黄泉の国で 8

⑦派生

 神産みの誕生した神からの派生 16柱

 イザナミさま汚物の派生 1柱

カグツチを斬った際の派生 8柱

 カグツチの体からの派生 8柱

 イザナキが黄泉国から逃げる際の派生 1柱

以上、114(84柱、30体)であります。


注目したいのは、女性神であるイザナミさまがお産みになった数が多いのは納得がいきますが、イザナキさまも禊その他で多くの神さまをご誕生させている。更にいえば、三貴子を誕生させているというのは、大変大きな点だと思います。但し、これは「古事記」の文面においてであって、「日本書記」になると若干違います。(そのことに関しては、生まれた神さまの記事で触れています)。

また、大変残念なことに、あんなに仲の良かったお二人はふとしたことから、最終的には全く別の道を歩んでしまいました。


さて、このイザナキさま、イザナミさまに関して、他の書物にはどのように書かれているのでしょうか??

このブログでも「古事記の誕生」でご紹介したように、古事記自体は正史である「日本書記」よりも物語性が強くなっています。

日本書記では「ある書によると~」というような書き出しで、同じ話でも幾つかの違った話を掲載しています。神産みの箇所は、特にその表記による書き出しが多いのです。


また面白いのは、イザナキさまイザナミさまが、ある種「創造主」と位置付けると、それ以前の書物、あるいは各地の風土記には別の「創造主」が存在しております。これは大変興味深い内容ですが、その信憑性という部分に関しては、いずれも「物語性」が強いものばかりです。

その辺りから考えますと、イザナキさまイザナミさまは、それらを総括した神様(創造主)という立ち位置にいると思います。造化三神からはじまり、神世七代を経て、高天原的にも国づくりを託された。創造主がすべてではなく、それらを生み出した経緯というものを定義づけることによって、中央集権の意図を強めたという言い方ができると思います。


記紀編纂の目的に沿って、日本国と皇室の歴史を確固たるものにするために、どうしても必要だった存在、神さまでありながら、とても人間に近い存在、その役柄を見事にお勤め頂いたのがこのイザナキさまとイザナミさまでした。


そして最後は静かに多賀に隠居(日本書記では淡路とも...)されたのも、記紀ではほんの一行しか触れられていない、なんとも見事な去り際ですね。

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