石長比売と木花之佐久夜毘売 ~邇邇芸命、寿命の謎~


世界三大美女というのがあります。


クレオパトラ、楊貴妃、そしてヘレネーです。


あれ、小野小町は??

というかたも多いでしょうが、世界三大美女に小野小町を入れているのは日本人だけです。


ですが、わたくしはそれも違うと思います。

世界三大美女に小野小町が入るということは、日本一の美女ということになります。

ここが違います。


日本一の美女は間違いなく、コノハナサクヤヒメさまです。


まぁ、このかたは国津神さまですから人間と同じに考えてはいかねのかも?でも、そんなことを言ったら、ヘレネもスパルタで信仰されたで女神さまですよね。


いま、コノハナサクヤヒメさまは霊峰富士になられています。

やはり日本一のお美しさですね。

そんな美しいおかただからこそ、天孫降臨されたニニギさまに見染められたのですね。


という訳で、今回は「木花之佐久夜毘売と誓約」でご紹介しました、なぜ、ここでニニギさまの「寿命」が決まってしまったのか?を、ひも解いていきましょう。




〇「古事記」のふりかえり

ニニギさまがコノハナサクヤヒメさまを見染て求婚したところ、父に相談したいと。そこで父である、オオヤマツミさまは、一緒に姉のイワナガヒメさまも嫁がせます。

ところが、ニニギさまは、「たいへん醜くかったので、恐れをなし親元に送りかえし」てしまいました。

それをオオヤマツミは大変恥じて、「天つ神の御子の寿命は木の花のようにはかなくなられるでしょう」といい、これでニニギさまの子孫に寿命ができてしまいました。

と、こんな内容なんです。


ちょっと、振り返ってみますと、そもそも人間に寿命ができたのは?? はい、それは、イザナミさまの呪詛でしたよね。

「伊耶那岐神、黄泉の国へ」で、イザナキさまとイザナミさまのやりとりがあります。でも、天津神さまには寿命がありませんでした。


ということは?? 天津神さまに寿命ができたのはオオヤマツミさまの呪詛ということになります。


ん、果たしてそうなのでしょうか??

〇大山津見神

ここでオオヤマツミノカミを振り返ってみましょう。
古事記では「大山津見神」、日本書紀では「大山祇神」、多分後者のほうが馴染みがあると思いますが、大山祇神社(大三島神社)のご祭神、また、関東では三嶋神社、そして大山阿夫利神社にもご縁のある神さま、山の神さまです。でも、その山の神が、なぜ、アマテラスさまの天孫に呪詛をかけられるのでしょうか??


実は、古事記では、神産みで誕生されたとありますが、日本書紀では「イザナギが軻遇突智を斬った際に生まれた」とされています。

軻遇突智とは、カグツチさまのことです。

さらに、日本書紀には、アマテラスさまは、イザナキさまの「禊」で誕生したのではなく、イザナミさまとの間に誕生されたこと、「大日霎貴、次に月神を生み、次に蛭児(ひるこ)を、最後に素戔嗚尊を生んだ。」
そのあとに「軻遇突智を生んだとあります」(ただし、これは日本書紀でも別の段になります)

日本書紀とは正史です。

この 軻遇突智さまを斬ったことに、この呪詛は通じているのだと筆者は考えます。

以前にも書きましたが、神(天津神)は死にません。イザナミさまも死んでいません、黄泉の国でお暮しです。カグツチさまも死んではおられません。



〇古事記の世界観から

以前に「古事記の世界観」に記しましたが、古事記には北方系神話と南方系神話の両方の要素が絡みあって出来ているということです。

「天孫降臨」はまさに、北方系神話の要素です。

それは、朝鮮系の王朝神話「檀君・首露王神話」に「建国の祖神が山上に降臨する」と酷似しています。ニニギさまの「韓の国」発言は多分、ここから来ているのでしょう。


それに対して、このはなしはまさに南方系神話です。

インドネシアやパプアニューギニアに伝わる「バナナ・タイプ」と呼ばれる神話です。

それは、「神によって天から与えられたバナナと石のうち、人間は空腹になったのでバナナだけを選んだために短命になった」という内容です。

石がイワナガヒメ(石長比売)に例えられたところも推測できます。

※国譲りから天孫降臨にまつわる部分というのは、記紀、特に古事記では大きな転換点になっています。ですから、まだまだ謎も多いのですし、謎というよりは、編纂者の「意図」をどう読み解くかということになります。

そして、神代(上巻)に関しては、この次の「火照命・火遠理命」、「鵜葺草葺不合命の誕生」という、所謂、日向三代で最後になってしまいます。

この大事なところの読み解きかたで、日本はどういう国を目指そうとしたのかが、明解になっていくのだと思います。


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